随所で話題となった「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の続編である「AIに負けない子どもを育てる」をオーディオブックで聴いてみたので感想を書いていきます。
著者が開発したRSTを中心に読解力が備わった子供を育てる方法が書いてある書籍です。
RSTの体験版も付いているので大人でも自分の読解力がどれほどあるのか調べることができます。
どうもこんにちは!
AIが怖い…、読解力は多分あるタケシ!(@takeshi_audio)です。
前作では「AIに勝つためには読解力しかない!」という内容でしたが、今作では読解力を育てる方法が語られています。
読解力を鍛えるためにどうすればいいのか?思い浮かべにくいことだと思うので、専門的に研究している著者の意見は参考になります。
大人でも読解力は延ばせるということなので、諦めることなくAIに打ち勝っていこうではありませんか!!
【要約】「AIに負けない子どもを育てる」を聴いた感想!
「AIに負けない子どもを育てる」は子供の読解力を育てることを中心に書かれています。
著者が開発したRST関連の話がほとんどなので、RSTの宣伝と言われてもしょうがないような内容です。
本の内容要約すると次の3つのポイントに絞れます。
- RSTの紹介が大半を占める
- 子供の読解力を鍛える
- 大人の読解力を鍛える
タイトルにはAIという言葉が書いてありますが、読解力に関する話が主なので、AI関連の話が読みたい人は前作を読みましょう。
前作「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の続編という立ち位置の本なのでタイトルにAIという文字が入っているだけです。
RSTと読解力に関する話が中心となっています。
それでは要約型の感想を書いていきます。
RSTの紹介が大半を占める
RST(リーディングスキルテスト)は著者が開発した読解力を測定・診断するためのテストです。
このテストを通して読解力で足りないスキルや知識を知ることができます。
下記はRSTの例題です。
- 幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
- 1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。
以上の2文は同じ意味でしょうか。
2つの文章は全く違う意味ですが中学生の正答率は57%だったようです。
簡単な文章ではありますが、半数近い中学生が間違えているのには驚きます。
本書にはRSTの例題が豊富に掲載されているので、テストの体験ができて読解力の診断ができます。
また、読解力がある人は「なんでこれが分からないの?」と思うかもしれませんが、読解力が無い人は真剣に問題を解いて分からないのです。
この点が、読解力がある人とない人では会話にならないという結果をもたらします。
RSTはなんども挑戦するものではないです。それではパターンを覚えているだけで全く読解力が向上しません。
RSTの分野と診断方法
RSTでは次の6つの分野の問題があり、それぞれ必要な能力が備わっているか診断します。
- 係り受け解析:文の構造である主語、述語、修飾語、被修飾語の関係などを正しく把握し、読解力の基礎となる力
- 照応解決:代名詞が指す内容を正しく認識する力
- 同義文判定:二つの文を読み比べ、同義か判定する力
- 推論:既存の知識と新しく得た知識から、論理的に判断する力
- イメージ同定:文と図表などの非言語情報を対応づける力
- 具体例同定(辞書):辞書的な定義を用いて新しい語彙と用法を獲得する力
- 具体例同定(理数):理数的な定義を理解して、用法を獲得する力
引用元: 一般社団法人 教育のための科学研究所
子供の読解力を鍛える
前作「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」では人間がAIよりも優れているはずの読解力が子供達の間で低下していることが分かりました。
今作では子供の読解力を成長させる育て方が中心に語られています。
子供の読解力の育て方は幼少期から小学生、中学生までかなりたくさんのポイントがまとめてあります。
- 小さい頃から多くの語彙に触れる
- 身近な大人の会話をたくさん聞かせる
- 絵本の読み聞かせをする
上記は極一部ですが具体的な育て方のヒントが数十個も紹介されています。
注意点としては紹介されている読解力の伸ばし方は科学的に証明されている方法ではなく、著者のこれまでの調査や経験から見つけた方法です。
著者ほど子供の読解力について調べている人はいないでしょうから、ある程度信頼はできますが、紹介されている方法に従えば100%読解量の高い子供が育つわけではありません。
この本はビジネス本というよりも子育て本・教育本的な要素が大きいです。
大人の読解力を鍛える
本書のメインテーマはAIに負けない子供を育てるですが、大人の読解力についても実例をもとに語られています。
大人になってからでも読解力は鍛えられるようなので安心してください。
本書に掲載されているRSTの体験版を利用した後に、思ったような結果が得られなかった場合でも、大人が読解力を鍛えるヒントが書かれています。
ポイントとしては次2つです。
- ゆっくりと文章を理解していく
- 単語や文章を記憶と結び付けない
普段から文章を読む習慣がない人や読解力に不安を感じる人は、背伸びせずにゆっくりと読むのが大切です。
分からなければ立ち止まり、文章の構造や意味を理解してから読み進めましょう。
また、文字を読むときにやってはいけないのが、単語や文章を記憶と結び付けて読むことです。
単語や定型文から何となく意味を推測して読み飛ばしていると、読解力は成長しませんし、正しく読むこともできません。
要は何となく読まないってことですよね。何となく読んでいるとちゃんとした文章が読めなくなります。
「AIに負けない子どもを育てる」をオーディオブックで聴くポイント
正直なところ「AIに負けない子どもを育てる」はオーディオブックでは聴きにくいです。
特に次の2つはオーディオブックとの相性の悪さが目立ちます。
- RSTをオーディオブックで体験するのは難しい
- 箇条書きが多いのでは使いづらい本
本書の内容の3分の1はRSTの体験版なのですが、もともとがペーパーテストなのでオーディオブックで問題を解くの難しい。
一応図解問題などは資料がついていますが、テスト中にオーディオブックを聴きながら一々図を参照してられないので、RSTの体験は絶望的です。
また、読解力の伸ばし方やRSTの内容については、箇条書きで次々と言葉が並べられていくので、オーディオブックでは理解できません。
文字で読む場合にはざっと見て参考にできますが、オーディオブックでは流れていってしまうので、再生を止めながらメモをとったりしないときついです。
オーディオブック版「AIに負けない子どもを育てる」の詳細
著者 | 新井紀子 |
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価格 | 1,760円 |
再生時間 | 8時間30分 |
ナレーター | 松本ちえ |
出版社 | 東洋経済新報社 |
オーディオブック版の「AIに負けない子どもを育てる」は、audiobook.jpにて配信されています。
価格は1,760円で再生時間は8時間超です。
主にRST関連ですが、28枚の図表がオーディオブックには付属しています。
またaudiobook.jpでは、前作の「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」も配信されているので、合わせて購入するのがおすすめです。
「AIに負けない子どもを育てる」単体で読むよりも「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」と合わせて読んだ方が面白いし勉強になります。
紙本・電子書籍版
「AIに負けない子どもを育てる」の紙本・電子書籍版です。
RSTの体験版は元々がペーパーテストですので、オーディオブックよりも紙本・電子書籍版が読みやすいでしょう。
前作「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』をオーディオブックで聴いてみたので、感想を書いています。AIに興味を持つきっかけとしては最高の本です。『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』をオーディオブックで聴く上でのポイントも紹介しています!
まとめ・感想 読解力の大切さが分かる本
本書を読むと改めて読解力の大切さが分かります。
これからAIに多くの仕事が奪われる未来はが確実に訪れる中で、読解力さえ鍛えておけば仕事はあります。
RSTは子供の読解力調査ですが、大人も改めて自分の読解力を確かめるべきです。
「中学生に読解力がない」ということは、中学生を経験して大人になった私達も、読解力が欠けているという可能性があるのだから。
自分は大丈夫と踏ん反り返っている場合ではありません。
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