【ネタバレ・あらすじ】「レベル7(セブン)」を読んだ感想!

宮部みゆきの著書「レベル7(セブン)」を読みましたので感想と評価を書いていきます。
「レベル7(セブン)」のあらすじは次の通りです。

レベル7まで行ったら戻れない――謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。ミステリー・サスペンスの最高峰、著者初期の傑作。

行方不明の女子高生を探すカウンセラーと記憶を失った男女に共通する、「レベル7」というキーワードの謎に迫る物語。

「レベル7」という言葉だけが共通する中で、2つの視点で物語が進行していきます。
全く関連性のない登場人物たちですが、お互いに女子高生の行方や自分たちの素性を調べていくうちに、物語は交錯していきます。

はたして「レベル7」とは一体なんなのか?

この記事の制作者
アプリ・電子書籍ライター タケシ
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年間300冊以上を読む読書好き。電子書籍やオーディオブックに関する情報をWeb記事など各メディアで発信。レビューしたサービスは40社以上。最新情報をまとめて分かりやすくお届けします。詳しいプロフィールはこちら

【72.5点】「レベル7(セブン)」の評価

レベル7
タイトル:レベル7(セブン)
著者      :宮部みゆき
総合評価:75.0点(個人の感想です。)
物語3.5
登場人物3.0
世界観4.5
構成4.0

「レベル7(セブン)」の総合評価は75.0点です。
物語の部分で最終的な結末が予想できてしまい、物語のポイントを少し低くつけてしまいました。
「レベル7」という意味深なキーワードが出てきたので、期待をしすぎていたのかもしれません。

ですが「レベル7」の真相など、世界観についてはとても好きな作品です。

ということで4つの評価項目についてネタバレありで感想を書いていきます。

himarayaの音声配信でも感想を述べていますので、こちらも聞いてみて下さい。

物語

「レベル7(セブン)」を読んだ率直な感想としては、物語は楽しく読み進められましたが、話の結末が予想しやすかったです。

キーパーソンとなる三枝隆男は、登場した時点で都合が良すぎる人物であり、何か裏があると容易に想像がつきます。
記憶喪失をした2人の前に協力者として現れる人物ですが、元記者という設定や真相究明への手際の良さから、なんとなくラスボス感が否めませんでした。
最終的にも最初から全て知っていて、2人を誘導していたということで、やっぱりなという感じです。

また、2つの物語が終盤で交錯して、繋がりが見えてくるあたりは爽快感があります。
ですが、女子高生を探すカウンセラー側の話はあんまり必要がなかったようにも感じました。
家族愛など人間味を感じられる話なので、読んでいて面白かったですが、そこまで物語に絡んでいないです。
作中では女子高生は事件に巻き込まれたという話でしたが、本当に巻き込まれただけという印象でした。

登場人物

主要な登場人物は10人程度ですが、そんなに印象に残る人もいなっかったです。
魅力的な登場人物が面白いというよりは、「レベル7」という設定や2つの視点から語られる構成に面白さがある作品なのでしょう。

印象的なのはカウンセラーである真行寺悦子の娘の活躍です。
女子高生の手帳を取り返してきたり、クリニックで見せた演技はスーパー子役でした。
物語の中で一番活躍していたのでは?と思います。(笑)

あとは村下猛蔵が登場段階から権力で色々と悪事を働いているという話が出ていたので、最終的に罰がくだされそうな気配がしていましたが、やはりお亡くなりになりました。
読者感情として村下猛蔵になんらかの罰がくだらないと許せないみたいなところもあります。
それもあって、いい奴か悪い奴か謎だった三枝隆男の動向が読みやすかったです。

世界観

この作品の世界観は「レベル7」とは何?という点につきます。
「レベル7」とは結局、人為的に記憶喪失を起こす、薬と電気ショックを使った施術でした。
本当にそんなことができるのか疑問はありましたが、2人の記憶喪失と女子高生の失踪をつなげる面白い設定だと思います。

レベルが上がるごとに記憶喪失の期間が長くなり、女子高生はゲーム感覚でプレイしていました。
「レベル7まで行ったら戻れない」という言葉の通り、「レベル7」の施術を受けると廃人になり完全に記憶を失う。
記憶喪失の2人は捕まって都合の悪い記憶を消されたわけですが、女子高生は嫌な事を忘れるために記憶を消していました。

その辺がただの記憶を使ったトリックではなく、過去の記憶に苦しめられる人間の弱さを感じる、考えさせられる設定でもあります。

なので「レベル7」の設定にはインパクトが無いかもしれませんが僕は好きです。

構成

記憶を失った理由と失踪した少女の捜索という2つの視点で話が進みますが、全く別の目的だった話が徐々に同じ方向性を向いていきます。
各々の話もテンポ良く進んでいき、目的がはっきりしている分、話がごちゃつかずに場面が切り替わっても分かりやすいです。

終盤では2つの視点の他にも病院で監禁されている、失踪した貝原みさお視点の話も描かれています。
メインの2つの視点でも病院を訪れるのですが、内部までは入っていかないので、貝原みさお視点は病院の内部を知れる必要な視点です。

2つの視点を通して「レベル7」や「村下猛蔵」など大切な情報が双方から出てきて、全員が集結する最終局面に進んでいくわけです。
1番最後の幸山荘に全員集合するシーンは、みんなで答え合わせをして分かりやすいのですが、もう少し読者の想像力を信じてもいいような気もしました。

総評 世界観が好きな作品

実は読み終わる前は、「レベル7(セブン)」という題名から少しSF的な作品なのかと思い読み進めていました。
女子高生が失踪していたり、記憶喪失の男女が出てきたりするので、闇のゲーム的な話かと思ったのです。

でも実際は記憶喪失を人為的に起こすのが「レベル7」だったわけですが、それはそれで好きな設定でした。