【ネタバレ・あらすじ】「R.P.G.」を読んだ感想!

宮部みゆきの著者「R.P.G.」を読みましたので感想と評価を書いていきます。
「R.P.G.」のあらすじは次の通りです。

ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再開し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書き下ろし。

2つの殺人事件が発生した後に容疑者が絞り込まれる。
殺害された男性が「お父さん」としてネット上で交流を持っていた、疑似家族のメンバーも容疑者に含まれます。

物語の大部分は疑似家族のメンバーに対する取り調べの様子です。
刑事が話を聞いていく中で、ネット上の疑似家族の実態や被害者の家族観などが判明し犯人に近づいていきます。
話の盤面が取調室に固定されていることから、まるで舞台劇を見ている可能ような作品です。

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【72.5点】「R.P.G.」の評価

R.P.G.
タイトル:R.P.G.
著者      :宮部みゆき
総合評価:72.5点(個人の感想です。)
物語3.0
登場人物3.5
世界観4.0
構成4.0

「R.P.G.」の総合評価は72.5点です。
物語の評価のポイントとしては、ネット上の疑似家族という設定と最後の結末だと思います。

疑似家族に関しては面白い設定ですが、生まれるまでのエピソードに違和感がありました。
最後の結末も確かに読者を裏切る展開ではありますが、登場人物も絞られているたのでそこまで衝撃はなかったです。

設定の部分に違和感を感じなければもうちょっと評価は高かったです。

ということで4つの評価項目についてネタバレありで感想を書いていきます。

himarayaの音声配信でも感想を述べていますので、こちらも聞いてみて下さい。

物語

物語のピークはやはりラストで2つの衝撃がありました。

  • 取り調べを見ていた娘の一美が犯人
  • 取り調べが警察のお芝居

取り調べは一美が目撃した不審人物と、疑似家族メンバーに同一人物かいるかどうかの面通しが目的だったので、一美がマジックミラー越しにいるのは違和感ありません。

物語が進んでいく中で、一美がとった不審な行動や登場人物を考えた時に一美では?と思ってしまい、真犯人としてあまり驚きはなかったです。
また、なんとなくR.P.G.の構成として取調室で話が終わりそうな雰囲気が出てきたので、割と分かりやすい犯人だったのかなと思います。

最終的には取り調べ自体が、一美を罠に嵌めるためのトラップだったと判明しましたが、無理があるように感じてしまいました。
取り調べを受けていた疑似家族メンバーは全員警察官な訳ですが、それにしては演技が上手すぎます。
短時間の取り調べならまだしも結構長いことやってたので、さすがにばれるはずです。

犯人も分かりミステリーの余韻に浸っている時に「演技??」となり、少し冷めてしまいました。

登場人物

目立った登場人物としてはやはり、物語の中心でもあるネット上では「お父さん」を名乗る所田良介です。
所田良介は現実でも娘を持つ父でありながら、ネット上で疑似家族でも「お父さん」を演じていましたが、正直よく分からない人物でした。

浮気癖があり若い子が好き、人間関係は自分中心、でも物語ではそんなに悪い人感が出てませんでした。
疑似家族に参加していた理由もパッとしないです。
周りを欺いていた極悪人くらいの人物の方が個人的にしっくりきます。

その他の登場人物に関しては特別感情移入できる人物もいなく普通です。
というよりは所田良介という人物が異質すぎて、妻や娘、浮気相手、疑似家族メンバーが薄れていた印象を受けました。

「模倣犯」と「クロスファイア」にも出てくる武上刑事と石津刑事は、別作品の人物ということで、ここでは触れません。

世界観

ネット上の疑似家族という設定は中々面白かったです。
現実世界で寂しい思いをしている人達が、家族ごっごではありますがネット上の交流で満たされていたというのはありそうな話でした。

しかし、疑似家族ができるまでの過程に違和感を覚えました。
映画に関するネット上の掲示板で知り合ったというのがまず謎で、出会い系とか悩み相談の方がしっくりきます。
和気藹々として話しやすい雰囲気だったという風に語られてはいましたが、映画だと不自然かなと思います。

そして疑似家族でチャットしていた場所が、誰でも見れる場所だったというのも腑に落ちません。
ふざけて家族ごっこをしているのであれば、それでもいいですが、割と疑似家族メンバーも交流を心の支えにしていた部分があるので、クローズドな空間の方が真剣な家族感が出ます。

疑似家族メンバー当人達は割と真剣なのに、読んでいてごっご感を強く感じてしまいました。

構成

本文の合間には家族のメールのやり取りが書かれていて、これが疑似家族と知った時がこの小説で1番驚きました。
判明したのが序盤の方で、その時には所田良介と娘の一美など家族も描かれていたので、登場人物の誰かだろうと思っていましたが、まさかの疑似家族でびっくりです。
疑似家族で娘役のハンドルネームがカズミだったのも、一美と被りいいミスリードでした。

後は取調室でのシーンが終盤まで続くわけですが、疑似家族が入れ替わり取り調べを受けていくので、場面が変わらない事に対して特に退屈とかはなかったです。
むしろ疑似家族のメンバーが取調室に1人ずつ登場して話を聞いていく形式は単純明快で面白い。

ずっと取調室にいるのにちゃんと面白いのがR.P.G.という作品の凄さです。

総評 疑似家族の設定最高。所田良介に違和感あり。

ネット上の疑似家族という設定が面白い作品。
それでいて、ミステリーとしてちゃんと成り立っているので、最後まで面白く読めました。

ただ物語の中心にいる所田良介に違和感があり、他の設定や登場人物に悪影響を与えている気がします。
「所田良介がどんだけ嫌いなんだよ」と思うかもしれませんが、この人を理解できるかどうかで面白さが大きく変わると思います。

あとタイトル考察ですが疑似家族というのもある意味RPG要素があり、この物語もRPGだったのでは?と思います。(適当)